笹倉鉄平『ボン・モモン』2024年11月中旬リリース作品（ジクレー・版画）

『ボン・モモン』

数年前のこと。
フランス、ロワール地方の中心都市トゥールで、
心惹かれる街角に出会い、描き始めた絵があったが、
途中で、ふっと筆が止まってしまった。
･･･何かが足りない、と思ったから。
それは何だろう？と、考えつつもすぐに答えは見つからぬまま。
結果、描きかけの絵はアトリエの棚にずっと置いたままだった。

ところが、つい先日のこと、
そのキャンバスをたまたま見た時に“何か”が閃いた。

もしも、この街角に“音楽”が流れていたら？
･･･そこからは、活き活きしたイメージが次々に浮かび、
頭の中で一枚の絵が像を結んでいった。

＊　　　　　＊　　　　　＊

今、思い返すと･･･
コロナ禍で気分まで閉じ込められていた時期、
心を慰め救ってくれたのは“音楽”だった――

まるで楽器を奏でるように、歌を歌うように、
筆にのって、色彩のハーモニーも絵へと流れ出してゆく。
音楽の生み出す調和、喜びや癒しは、
いつも“心地よいひと時”を創り出してくれる。
自身の絵もそうありたい。

笹倉鉄平
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