笹倉鉄平『日の出・富士・印象』2020年9月リリース作品(ジクレー・版画)
『日の出・富士・印象』 “Impression,Sunrise,Mt.Fuji” 10年程も前から、訪れる度に"描こう"と思い続けてきた―― まだ真っ暗な、早朝の精進湖畔に立つ。 周囲は、何も見えないほどの濃い霧と張りつめた静寂に包まれていた。 薄明の後、太陽が昇り始めたのか、雲も霧も動き出すと、 真っ白だった空間から、湖面が少しずつ現れ出す。 そして、ようやく富士山が、頂上辺りからゆっくり姿を見せ始めた頃、 辺り一面、まばゆいばかりの朝陽に包まれた。 浮世絵の時代から現代まで、数多(あまた)の画家たちが、 それぞれの画風、工夫、オリジナリティを追求した表現で、 様々に富士山を描いてきた。 頭の中で、少しずつ、少しずつ、練り上げられてきていた、 自分らしい"光の富士""虹色の富士"といったイメージが、 最近になって、表現できる像として結ばれた気がしていた。 長い間、待ち望んだ通りの光の中で、美しい富士を目の前にして・・・ 「今の、この印象を、描きなさい」と、語りかけられたような気がした。 笹倉 鉄平 “笹倉鉄平作品一覧”の頁に戻る
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