笹倉鉄平作品専門画廊【元町コンフォートギャラリー】
鉄平作品コメント


110、『聖ミクラーシュ教会、雪の眺望』
“Malá Strana in Snow”


冬12月に、チェコのプラハを訪れた。
旧市街から西へと、ヴルタヴァ河を渡った地域は、
マラー・ストラナと呼ばれる、かつて貴族たちが住んでいたエリアだ。
17世紀以降に建てられた、瀟洒な建物が通りに連なり、
中心部には、ヨーロッパで最も美しいバロック建築の一つにも挙げられる
聖ミクラーシュ教会が厳かに建っている。

教会の姿を近くから見上げても、全体の壮麗な佇まいは把握できない。
そこで、遠くから見ることが出来る眺望を求めて歩き出した。
凝った造りの家並みが続くネルドヴァ通りの緩い坂道は、
丘の上のプラハ城へと向かい、城門へと続く長い階段道を上ってゆく。
途中で一息つこうと、後ろを振り返った。

――息をのんだ。

うっすらと雪化粧をした美しい眺めに、寒さも忘れてしばし魅入る。
現実に目の前に広がる景色でありながら、どこか夢の中に居るようでもある。
いつの間にか、再び雪が舞っていた。

その時の印象を、写真画像とは異なる"絵らしい表現"で描きたい思い、
何度も何度も色調を変えながら、心奪われた自分なりの心象へと近づけていった。

笹倉 鉄平

『聖ミクラーシュ教会、雪の眺望』、作品詳細




109、『両手ひろげて』
"padstow"


イギリス・ロンドンから、西へ西へと足を延ばした先・・・コーンウォール地方。
その北側の沿岸に、パドストウという小さな港町が在る。

週末には、大勢の人が新鮮な海の幸を求めて集うグルメタウンとしても、
昨今では人気のある港だという。
午前中からのにぎわいは夕食時まで続き、
のんびりと笑顔で過ごす人々と愛犬たちの様子が、とても微笑ましい。
気づけば、自分も安らいだ気分になり、スケッチブックを開いていた。

港を見渡せる対岸の防波堤に腰掛け、絵の構想を練る。
滞在中はずっと曇りがちの空模様だったが、とある夕刻のこと。
港とは逆の西側の空が、はらりと割れ始めたことに気づいた。
みるみるうちに、いわゆる"天使の梯子"の光線が、一筋二筋と・・・雲の裂け目から次々に差す。
神々しいような空の景色を見やりながら、思わず両手を広げて、
清らかな光を享けとめたいような気持に駆られる。
・・・そうだ、この光と空を、港の上に描くことにしよう。

幸福感と安らぎに満ちた今宵のひと時を・・・
人々の暮らしや営みを照らして包み込む、天からの祝福の光を・・・
左右に両手を広げたかのようにのびる、港の光景を・・・
その全てを一枚のキャンバスに描き出すには、
自分の両手をめいっぱい広げる程の大きさが必要だった。

絵の前で―――
両手ひろげて。

笹倉 鉄平

『両手ひろげて』、作品詳細




108、『モンマルトル』
"Montmartre"


絵を勉強し始めた頃から、強く心惹かれ影響を受けたのは、
フランス印象派の画家が描き出した様々な“光の表情”や、
新しい表現を果敢に模索する彼らの気概だった。

印象派の画家たちが活動していた19世紀末のパリ。
モンマルトル地区は、まだまだ長閑な郊外の地だった。
野外スケッチもしやすかったであろうし、
若い画家やその卵たちでも借りやすい安アパルトマンも多かった。
気鋭の芸術家たちが多く集う環境にあって、
刺激を受け・与えしつつも互いに研鑽を重ね、
それぞれが独自の絵画表現を確立してゆく・・・
モンマルトルは、そんな土地柄であり、そんな時代であった。

そして、画家に憧れる若い頃の自分にとってのそこは、いわば“聖地”。
だからこそ、私自身のパリでの個展を目前にしていた時、
「ここを描きたい」という思いが自然と沸き上がってきた。

随分と昔に、雑誌からページごと切り取って、
色あせるまで壁に貼っていたお気に入りの写真があった。
それが、この場所・この角度からのモンマルトルの風景・・・。
遠い昔の憧憬と思いを込めて、私も“私なりの表現”で描こうと思った。

笹倉 鉄平

『モンマルトル』、作品詳細




107、『青空―アルゼット』
"The Alzette, under the Blue Sky"


アトリエに在る本棚の目立つ位置に、
一冊のスケッチブックを、長い間ずっと横置きにしてある。
気が向いた時、いつでも手に取って見られるように。
そうして、もう5年ほどにもなるだろうか・・・

* * *

フランス・ベルギー・ドイツと国境を接する小さな国、ルクセンブルク。
首都ルクセンブルクの街を流れるアルゼット川沿いを散策していると、
これまで描いたことのない、心惹かれる構図の風景に出会った。
天気の良い快適な日で、抜けるような空の青色が、一段と濃く川面に映えていた。

その場でササッとしたスケッチに、帰国して早速に彩色をしてみると、
旧い名画調になりそうで、自分らしさに欠ける気がした。
そこで、別の色調に変えて描き直すものの、
あの場所で心動かされたイメージとは、どこか違ってしまう。
こんな時は経験上、何かひらめかない限り致しようもなく、
スケッチの状態で、時間を置くことしかできなかった。

ある日、京都で川沿いの道を歩いていた時のこと。
斜め陽が当たって輝いている所と、日陰になっている所、
鮮やかな対比を見せている風景に、ハッとひらめいたことがあった。
慌ててアトリエへ戻ると、
スケッチブックを本棚から取り出し、件のページを開けた――

* * *

青い空とアルゼット川、光と陰とが描き出す
ピースフルな眺めを思い出しては、
思わず、フゥーっと大きく深呼吸をした。

笹倉 鉄平

『青空―アルゼット』、作品詳細




106、『オンネア』
"Onnea"


いつも、いつのまにか、考えてしまう。
「光」を、絵具の「色」に置き換えるには、どうすれば良いのだろう?

* * *

ひとつの方法として思い至ったのが・・・
それ自体には色が無いもの、例えば白い物や花、無彩色のガラス等を
たっぷりの光の中に置いて、描くことだった。

次に、それに合う背景は?と、考えた時に自然と浮かんできたのは、
生き生きとした樹木の"緑"や
森の中での静かで穏やかな暮し
そして、清らかな光が差し込む窓辺。

そんなイメージを求め、体感すべく、森と湖水の国 ・フィンランドへ向かった。
首都ヘルシンキから電車とバスを乗り継いで訪ねた、フィスカルスの地は、
樺(かば)類の樹木に囲まれた平和なアーティスト村だった。

夏だというのに、朝もやに包まれた早朝は、かなり肌寒い。
まだ薄暗い林道を歩き回るうち、青々とした木々と葉の間から
朝陽が、光の筋を神々しくきらめかせながらゆっくり差し込んできた。
小鳥たちのさえずり以外何も聞こえない明るい静寂と、純粋で清々しい空気の中、
生まれたての光は、とても、とても美しかった。

―――描くべき窓辺の風景と"光の色"が、見えた気がした。

笹倉 鉄平

『オンネア』、作品詳細




105、『おかえり!』
~"Hello, dear !"


イングランド、コッツウォルズ地方の町、サイレンセスターを散策していた時。
歩いているうちに、中心部からずいぶん離れて、
いつの間にか、郊外の住宅街まで来てしまったようだ。

少し前を歩いていた一人の女性が、つと立ち止まると、
自宅らしき家の門扉の鍵を取り出し、カチャリと開けた。
すると、門の中から元気な犬の声が聞こえてきた。
その横を歩いて通り過ぎる折に、さり気なく門の中を覗いて見かけたのが、
門から玄関へと続く、花いっぱいのアプローチで
喜びに目をキラキラ輝かせて女性を見つめる、白と黒の二匹の子犬だった。

他人様の玄関前をうろつくわけにもゆかず、
そのままゆっくりと通り過ぎたものの―――
子犬たちの姿があまりに愛らしくて、
その"お迎え"の様子がとても微笑ましくて、
嬉しさが隠し切れないような表情(しかも×2匹)が目に焼き付き、忘れられなかった。

そうだ、子供の頃は一瞬の視覚記憶だけで、想像力を駆使して絵を描いていた。
同じように、あの光景を記憶と印象だけで描いてみよう、と思い立った。
いっそ、子供時代のようにクレパスで描こう。
楽しかった思い出を絵日記に描き起こすように・・・。

くりくりの黒い瞳に心癒された、あの一瞬を絵にしたかった。

笹倉 鉄平

『おかえり!』、作品詳細




104、『ソワレ・ド・ノエル』
~Soire de Noel


もしも、一年中クリスマスの飾りで人々を迎えるカフェがあったとしたら、
クリスマス・パーティー(=ソワレ・ド・ノエル)は、どんな感じだろう?
そんなことを思い立って鉛筆を取り、まずはアイデア・スケッチを描いてみた。

その店の名前は、ずばり『カフェ・ド・ノエル』にして、
外観は、パリに残る昔ながらのカフェのデザインにしてみよう。
子供から大人、お年寄りが集い、決して広くはない空間で
にぎやかなひと時を楽しんでいる。
外の通りには、その様子をのぞきながら、思い思いに歩く通行人たち。
・・・しかし、思うイメージと少し何か、違う感じがした。

店の外側に居る通行人だけが、"忙しく余裕の無い人"に見えてしまい、
何処となく爪はじきにされているような印象になってしまった。
一瞬を切り取る"絵の中の世界"では、瞬間的なドラマ性の表現は難しい。
そこで、このささやかなパーティーに、自分が参加している気分になって、
もう一度、想像をし直した。

子供たちは・・・大人のパーティーに参加すれば、長い時間を持て余してしまう。
だから、同じ子供同士しか通じ合えない楽しみを、自分たちでしっかり見つける。
お年寄りも・・・自分一人の時間の方が楽しいと感じる時だってあるかもしれない。
年代によっても異なる、それぞれの過ごし方や楽しみ方、
そして、幸せな時間がきっとあるのだろうと思う・・・
そんなことを思いながら描いていった。

笹倉 鉄平

『ソワレ・ド・ノエル』、作品詳細




103、『リューネブルク』
~Luneburg


それは、まるで・・・ずっと昔に絵本で見たような・・・

ドイツ北部、リューネブルクという町を電車で訪ねた。
駅から町の中心部へと歩いて行く途中、
イルメナウ川に沿って、古く愛らしい家並みが続く景色に出会った。

町は、ハンザ同盟の小都市の一つとして栄えた長い歴史を持つ。
同じくハンザ都市を有する近隣のオランダやベルギー等の建物とも似た、
赤いレンガ造りの旧い建物も並んでいる。
ここでは、今はカフェやレストランとして、人々に憩いの時間を提供しているようだ。

中世には、「白い黄金」と珍重された塩の産地として、町は大いに栄えたという。
川辺には、当時の塩運搬用の木造の帆船が再現され、停泊している。
その様子がまた、より童話的な雰囲気を醸し出していた。

町へ入るべく、今まさに渡ろうとしているこの橋から望む対岸の眺めは、
どこか現実離れしているような、
初めて見るのに、なぜか懐かしく記憶の底をざわめかせるような、
「こちらへどうぞ」と、温かく招かれているかのような、
―――別世界への入り口、であるかのように感じてしまった。

"絵本のような"という、その第一印象を意識して大切にしながら、
実際の風景(主に建物)に、色々と手を加えつつ、
心遊べる情景、を目指して描いていった。


笹倉 鉄平

『リューネブルク』、作品詳細




102、『ピアノのある部屋』
~A_room_with_shades_of_green


イングランド北部の街、ペンリス郊外に在る閑静なホテルに宿をとった。
その小さなラウンジルームは、クラシカルなピアノが置かれ、
落ち着いた調度品とも相まって、気分の安らぐ居心地良い空間だった。

以前は、恐らくコンサバトリー(温室)として使われていた部屋なのだろう。
大きな窓が部屋の三方に連なって、半分屋外であるかのような感じがする。
少し残念に思ったのは、窓からの眺めの半分ほどが、
ホテル入口のアプローチや駐車場だったこと。

そこで、片隅のソファにのんびりと座り、お茶を飲みながら想像をしてみた。
もしも、この様な部屋が森の中に在ったら、どんなに気持ちがよいだろう、と―――

昼でも暗く感じる程の涼しげな緑蔭、
若い青葉を透かして届く光は、
庭を、風景を、室内までも、ほんのりと緑色に染める。
深呼吸すれば、豊かな自然の抱擁力に心まで解き放たれるようだ。

足元には、のんびりと気ままな猫たち。
ゆっくり静かに時間の流れるこの部屋で
さあ、何をして過ごそう?

そして、ピアノが奏でるのは、どんな曲だろう・・・

笹倉 鉄平

『ピアノのある部屋』、作品詳細




101、『ボーデン湖からライン河へ』
~Impression_of_the_Cruise


ドイツ、スイス、オーストリア、3つの国に接して横たわるボーデン湖。
その湖畔に在る中心都市、コンスタンツの港からは、
湖や河を行き来する様々な船便が出入りする。

その日は、スイスのシャフハウゼン行の定期観光船に乗り込んだ。
夏の眩しい日射しが照り付けていたが、船が航行し始めると、
開放的な風景の中で、涼やかな川風が吹き抜けてゆき・・・
なんと気持ちが良いのだろう。
途中、様々な形のヨットともすれ違う。
まるで爽やかな気分を互いに確かめ合うかのように、
船の上で互いに手を振りあう様子に、気分は更にほどけてゆく。

航路は、ボーデン湖畔から西側へ繋がるウンター湖という小さな湖を抜け、
ライン河へと至り、河岸の北側はドイツ、南側はスイスとなる。
両岸には町村の船着き場が点在し、船は交互に寄港しながら遡上してゆく。

甲板から見るそれら集落の風景は、思いがけず各々に違う魅力があり、
目的地まで行かず、飛び降りて訪ねたい衝動にも駆られたけれど、
むしろ、今見ている清々しい風景の数々を、
"全体の印象"として凝縮した一枚の絵で表現してみようと思い立った。

実際に在った景色をベースにせず、
ゼロから創り出す風景の制作は、予想以上に難しかったが、
船上での心地よさや爽やかな感動が、伝わるような絵を、と・・・
思い浮かんだ景色を、何度も描き直しながら、少しずつ、少しずつ、
キャンバスの上に写してゆく、そんな手探りのチャレンジだった。

笹倉 鉄平

『ボーデン湖からライン河へ』、作品詳細




100、『散歩の時間に』
~The_Dog-walking_Hours


ドイツ、フランクフルトからほど近い街、マインツ。
犬と散歩をする親子に出合った。
その堂々としたシェパード犬の歩みは、主人に連れられているというよりも
とても紳士的な態で、二人を気遣って寄り添っているかのように見えた。

そこへミニチュア・シュナウザー犬が近づいて来たのだが、
互いに動じもせず、静かにすれ違ってゆく姿に感心する。
そういえば、2匹ともドイツ生まれの犬種だ。
この国の飼い犬たちは、きちんとした躾が義務付けられていることもあり、
なるほど、吠え合うこともない。

夕刻の散歩時間帯だからだろうか・・・犬と一緒にそぞろ歩く人が次々に通りかかる。
犬を介して顔見知りになった人たちの会話も、そこここではずみ、
仕事帰りの人々もワインや食事を楽しもうと、集ってくる。

この一角は、歴史を感じる木骨組の建物が今も残り、
古い井戸を囲むようにして、カフェやレストラン、店舗が立ち並ぶ。
気付けば、いつの間にか暮れ時の憩いの空気も濃くなっていた。

近くに住んでいる人も、たまたま通りかかった人も、
今日頑張った人も、うまくゆかなかった人も、
自分のような旅人も、そして勿論、犬たちも―――
互いの存在と適度な距離感を、穏やかに尊重し合い、
温もりと包容力のある安らぎが、そこに満ちていた。

笹倉鉄平

『散歩の時間に』作品詳細




99、『見つけた!』
~An_Upward_Glance


南仏・プロヴァンス地方、リュベロン平原。
小高く隆起した丘の上に在る小さな村、ゴルド。
ひな壇状の斜面に、石造りの家々がかたまって並び、
その間を石畳の路地や坂道が、迷路のようにぬい巡らされている。

村を歩いていると、思う以上に急な坂道や階段が多い。
疲れた足を休めようと、カフェを探していた。
一段下の路地へと繋がる石段を降りようと、ふと下方へ目線を落とした時――

石畳にキラキラと木漏れ陽が躍る、オアシスのような場所を見つけ、
光と影が織りなす美しく涼しげな空間に、一瞬で心奪われた。

カフェを探していたことなど忘れて、そのまま石段の上の段に座り込む。
今、この時間帯でしか出会えなかった光の景色に
癒されてゆく眼福のひと時。

描きたい"もの"を、見つけた!

笹倉鉄平

『見つけた!』作品詳細




98、『アドベントの窓辺』
~Advent_Wreath

簡単に言いますと、“アドベント”というのは
西方キリスト教でイエス・キリストの降誕を祝う日(つまりクリスマス)を
待つ期間のことで、日本では“待降節”“降臨節”等とも呼ばれます。

時期としては、11月30日(聖アンデレの日)に最も近い日曜日から
クリスマス前日までの約4週間を差す、とのこと。

アドベントの間、モミの木等の常緑樹の枝葉を円状にし、
4本のキャンドルを立てて平置きにするアドベント・リースを、
教会や家庭に置くという慣習もあります。
日曜毎に、キャンドルに火を灯す数を1本ずつ増やしてゆき
、 クリスマス前の最後の日曜がやって来ると、4本全てが灯されるのです。

また、この期間には、ドイツ・オーストリアを主に、
欧州の大きな都市の広場で、クリスマス・マーケットが開催され、
クリスマス当日までを、祝祭への準備と宗教的悔改に充てるのだそうです。

*       *      *

アドベントの季節に欧州を旅すると、
クリスマスに由来する品を、つい色々手に入れて帰ってきてしまう。

様々な地で気に入った、小さな記念のクリスマス雑貨を並べる。
一度描いてみたいと思っていた、
アドベント・リースに揺らめくキャンドルを主役にして、
似合いそうな窓からの眺めを想像した・・・

ドイツ辺りの冬の住宅街、温かで家庭的なリヴィングルーム。
柔らかな灯し火の揺らぎが生み出す、
優しい空間のぬくもりと安らぎを思い描く―――

“光の祝祭”の到来を指折り数えて待つ、そんな窓辺の情景。

笹倉鉄平

『アドベントの窓辺』作品詳細




97、『水の奥の世界』
~Anothe_Scene_in_the_Water

夜、煌々たる灯りに照らし出され、紅葉に囲まれたその池―――
古の昔から、日本人の心をうっとりとさせる錦繍の彩りが、
鏡のように静かな水面に映り込んで、
底知れぬような、吸い込まれてしまいそうな、
神秘的な魅力を湛えている。

周囲には、確かに現実の世界が在る。
が、その風景を映すぴりりとも動かない池面に深く見入っているうち・・・
実像を"映している"というよりも、
水の奥に、まるで"もう一つの世界が在る"かのように感じてしまった。

*   *   *

京都、東山に在る名刹「高台寺」の、
手入れの行き届いた広い境内の庭に在る池、臥龍池(がりょうち)。
春の桜と秋の紅葉の頃、夜間に境内を明るく照らし出す特別な期間がある

そこで、画面のほとんどを占めて、描きたかったのは、
漆黒の水の奥に在った、美しく、不思議な・・・別世界。

笹倉鉄平

『水の奥の世界』作品詳細




96、『モーゼルのぶどう畑と、笑顔になる水辺』

モーゼル川は、フランス・ヴォージュ山脈を端に、ドイツ・ライン河へと合流し
流域はヨーロッパ有数の白ワイン名産地として知られている。
そのモーゼル・ワイン中心の地、ベルンカステル・クースという街を訪ねた。

初夏の晴れた朝、散歩に出かけ、川向うの丘へと目をやると・・・
腰の高さ程に育ったぶどうの木が、
南向きの斜面に、新緑の縞模様を描いていた。

注がれる爽やかな陽光と、時おり頬をなぜてゆく風。
瞳に映るのは、穏やかな川の流れと若緑の並木と愛らしい家々。
何とも清々しい気分になって、つい先へ先へと歩が進む。

すれ違う人々は皆、笑顔であいさつを交わし、
自分も自然に笑顔になっていることに気づいた―――

こんな気分を伝えられる絵を描けないものだろうか?

ベルンカステル・クースのぶどう畑や家並みと、
通りかかった名も知らぬ村の、水辺の様子や教会などを、
試行錯誤を重ねて組み合わせつつ、心に芽生えた理想のイメージを創っていった。

思わず笑顔になってしまうような良い気分を、
ほんの少しでも届けられれば嬉しい。

笹倉鉄平




95、『アンティーク雑貨の店』

レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが活躍した、
ルネッサンス芸術発祥の地、フィレンツェ。

この街には、昔から代々続く様々な分野の職人や、
その道の匠・エキスパートという人たちが、多く居る。

どんなに古くても、良いものは良い。
それは、ただ"古い"のではなく"時の積み重ね"なのだ、とばかりに・・・
古き良き時代のものを修理・修復しながら、大切に日常の中に生かす。
ここイタリア、フィレンツェには、どこかそんな空気が流れている。

散策中に出会った一軒の骨董店をベースに、
他いくつかの店を参考にしながら、理想の店を描こうと思った。
好きな物をいっぱい詰め込み、自分なりのストーリーを想像しながら・・・

昔の雑貨というのは、機能のみを追求しているわけではない。
温かみある装飾やデザイン性、表情に優れ、それぞれの個性もとても豊かだ。
時代を越えて愛され、脈々と続いてきたものにこそ宿るロマンなのだろう。

骨董店や歴史ある雑貨店というのは、
大人が時間を忘れて楽しめる"おもちゃ箱"であってほしいと願う。

笹倉鉄平

『アンティーク雑貨の店』作品詳細




94、『続いてゆく・・・』

ヨーロッパの町を訪ねる時、自然と旧市街へ足が向く。
なぜなら、グローバル化著しい新市街には無い、その地特有の雰囲気を感じられるからだ。
そこには時間に流されなかった"何か"があり、旅人の目や心に優しく届く。

*     *     *

京都の町には、いわゆる「老舗」があちらこちらに点在している。
時折通りかかる度に心惹かれていた、
江戸時代から代々商いを続けている三軒を、
一枚の絵として並べて描いてみることにした。

昔から続くスタイルが守られた店先に惹かれ、好感を抱くのは、
日本人の繊細さ、優しさ、美意識などが
そのデザイン・センスを通して、垣間見えるからだろう。

「のれんを守る」ということは、
時代の流れに寄り添って生き続けてゆきながらも、
脈々と受け継がれてきた教えを尊重し続けるということ。

それがたとえ京都であっても、ヨーロッパであっても、
昔ながらの店や家並みが、町の景観を守り、
暮らしぶりや文化は言うまでも無く、人の感性までも引き繋いでゆくように思う。

時間に流されなかった景色が、この先も続いてゆくなら、
人の"こころ"や、暮らしの中の安らぎも、

きっと、続いてゆく・・・

笹倉鉄平

『続いてゆく…』作品詳細




93、『ル・パレ』

目を閉じると浮かんでくる一つの風景がある。
それは、もう随分前のことなのに
まるでつい昨日のように・・・


フランス語で"美しい島"という名を持つ、ベル・イル・アン・メール。
平和で穏やかな島の風景をスケッチしながら暫し滞在した。

本土のキブロン港へ向かおうと、フェリーに早めに乗り込み、
出港までの時間を甲板で過ごしていた時のこと。

斜めになってきた午後の陽光が、
波間でキラキラと反射し、あまりの眩しさに目を細める。
絶えず揺らめき、たゆたう、幻惑的な光の美しさに魅了され、
長い間、見入ってしまった。

目映い乱反射のせいか、周りの風景はいつのまにかその色味を失くし、
モノトーンの世界へと変わる中・・・
光の色の印象が、まるで未来への希望の象徴であるかのように
記憶に強く焼きついていった。

出港の汽笛の音にハッとすれば、
ゆっくりと、輝く海原へ向けてフェリーが滑り出してゆく。

行く先には何も見えないけれど、
光は、必ずある。
さあ、また出発しよう

笹倉鉄平

『ル・パレ』作品詳細




92、『オーデンセの綿雪』

ここデンマーク、オーデンセの街は、童話作家H.C.アンデルセンの故郷。
冬の落ち着いた雰囲気に包まれた小さな街が気に入って、暫し滞在した。

北欧デンマークは緯度が高いため、12月ともなれば、
夕刻前の3時4時には陽が傾いて暗くなり始める。
その日も、朝から舞っていた雪が午後になって止み始め、散策に出かけた。

商店が連なり人のにぎわう中心部を抜けると、
川沿いに瀟洒な住宅が並ぶ、自然豊かな遊歩道へと出る。
静かな雪景色がとても美しく、寒さも忘れて無我夢中で雪道を進んでゆく。
と、川にせり出すように建てられた小さなティー・ハウス(東屋風の小屋)に目が留まった。

樹木に積る雪が、まるでクリスマスツリーを飾る綿のように優しく柔らかそうで・・・
暮れゆくほのかな残照に照らされたその雪景色は、
アンデルセン童話の世界を見せてくれるかのようだった。

現実の色でもなく、
これまでに描いた雪の色調でもなく、
今、心で感じている"この色彩"の印象を―――

笹倉鉄平

『オーデンセの綿雪』作品詳細




91、『ヴェネチアン・ノクターン』

なんという不思議な街―――
訪れる度に、そう思う。

アドリア海のラグーナ(潟)に浮かぶ、中世の佇まいをそのまま残した迷宮、ヴェネチア。
その幻想的な魅力を、過去に何度も描こうとしてきたが、
なぜか未だにその"風景"は、作品として描けずにいた。

中世からの長い歴史を誇りつつ、連綿とその美しさを保ってきた「水の都」は、
古今東西の画家たちによって、あまりにも多くの作品に描かれている。
ゆえに、"どこかで観たような景色"として頭の中でダブってしまい、
"自分らしい"風景画のイメージがとらえ切れずにいた。


ある日、アトリエでパラパラと自分の画集を開いていた時に、突然ひらめいた。
アーチ越しに描くことで、自分の思い描くヴェネチアの世界観を表現できるかもしれない、と。

そこで、実際に探し歩いて出会えた場所がここだった。
昼間にスケッチをして、夜になってから再び訪ねてみれば―――
運河には夜の光を宿した水面が、人々を幻惑するかのようにきらめき、
柱の向こう側からは、スローテンポで哀愁を帯びたギターの音色が響いていた。

アーチはまるで舞台のセットのように思え、
向こう側の、どこか現実離れした風景は、まるで「夢の一幕」でも観るかのようだった。

ここには、人を音楽家や詩人にさせる何かが在るのだろう

笹倉鉄平

『ヴェネチアン・ノクターン』作品詳細




90、『ユトレヒトの花束』

随分と前に、オランダのユトレヒトという街を訪ねた。
季節は、落ち葉舞う秋・・・
当時、“花の国オランダ”の“花の在る暮らし”に思いを馳せて、
秋を春の情景へと想像で変えて描いた。

それから長い年月が経ち、同じ場所を今回は春に再訪した。
運河沿いの道路脇には、花を売る屋台がズラリと並び、
色とりどりのブーケも競い合うように店先と通りを飾っている。

ひとつの花束に心惹かれて・・・
運河の流れ際の岸辺へと持って下りた。
そこは喧騒から離れ、別世界のように落ち着いた場所。
たまたま、陽光が差す所におあつらえ向きのベンチもある。
水面では、優しげなやわらかい光が躍るようにきらめいて。
そこに、小さな白いクルーザーが笑顔を乗せてやって来た―――

「再び訪れることがあれば、想像ではなく、花の溢れる季節に、
この地の花をこの地で描いてみたい」とずっと思っていた。

長い間、心の中で温めてきたそんな想いに、数々の幸運な出会いが重なって、
今この絵を描くことが出来た幸せに感謝したい

笹倉鉄平

『ユトレヒトの花束』作品詳細




89、『ウーズ河畔』

「ヨークの歴史は、イングランドの歴史そのもの」とも云われる、英国北部の古都ヨーク。
古い城壁に囲まれたこの遺産都市の2000年以上にも渡る営みを
このウーズ河の流れも、見守り続けてきたのだろう。

橋のたもとから対岸の河畔を眺めれば・・・
随分昔にモノクロの写真集で見た"古き良き"時代の
ニューヨークの街並みを思い出した。
ここヨークにあやかって、"ニュー・ヨーク"と名付けられたのだから、
その面影を感じることに不思議はない。

古いレンガ造りの建物が当時のままに並ぶ風景は、
穏やかな茶系の色調で統一され、午後の日差しの中で柔らかな印象だった。
しかし、日没後に同じ河畔に立って見れば、
街も河の色も、青く暗く硬質な雰囲気の景色へと大きく変化していて・・・
期待していたのは潤いのあるレトロな色彩の夜景だった為、イメージとは違っていた。

ならば、いっそのこと目の前の現実の色や写真的なリアリズムからは離れて、
心の中に在る心象風景として、出来るだけ"絵的"な表現で描きたいと思った。


涼しげな河畔に在るパブ
微かに聞こえる朗らかな談笑
川面を渡る、潤いを帯びた風
心の中で描いた月
ブルーグリーンに包まれた街、人、時間
テラスで始まった男声コーラス
ハーモニーが見せてくれた、心の安らぎ

笹倉鉄平

『ウーズ河畔』作品詳細




88、『セトル鉄道駅』

"鉄道ファン"というほどではないけれど・・・
旅をする中で、各地の鉄道のお世話になるうち、
駅や列車に対して、旅情と共に愛着を感じるようになった。

鉄道駅では、出発、帰郷、出会いや別れなど・・・
様々な形のドラマが生まれ、繰り返されてきたであろうことを思う。
そんな「駅」というものを描きたいと思い立ち、
旅の通過点で利用する駅だが、駅そのものを目的にした旅に出た。

旅先として選んだのは、鉄道発祥の国イングランド。
廃線になった昔の鉄道を地域ボランティアの力で復活させ、
各地に『保存鉄道』として残しながら路線を数々運営する等、
鉄道を愛してやまない人が多い、英国。

下調べをして、魅力を感じる駅舎が残る路線を探し、
中でも、蒸気機関車が走っていた時代の姿を残す駅をいくつか選んだ。


北ヨークシャー地方に在る、セトル・カーライル線の始発駅、セトル。
小さな町の、古くて可愛い駅はとても美しく当時の姿を留め、
100年以上も前から、地元の人々の旅立ちや帰還の物語を見守り続けてきたのだろう。
"絵にしたい"という気持ちや気分に、ピタリと合った。

それは、旅する異邦人にはより強く胸に響き、
どこか懐かしさすら同時に覚える「駅」の風景だった。

笹倉鉄平

『セトル鉄道駅』作品詳細


87、『セント・ステファンズ公園』

ダブリンは、滞在中ずっと厚い雲に覆われていた。

かの歴史ある名門大学トリニティ・カレッジから、
目貫通りのグラフトン・ストリートを暫く行ったその先に、
地元市民の憩いの場である公園があると聞いてやって来た。
年月を経た樹木が茂って豊かな緑にあふれ、
池には様々な種類の水鳥たちが遊ぶ・・・
その平和な雰囲気は、すぐ外側に広がる街の喧騒を忘れさせた。

もしも、今ここに陽が差せば、さぞ美しい風景だろうと思ったが、
この曇天では・・・と、後ろ髪を引かれながらも、公園を後にした。
もと来た道を暫く歩いていると、突然、雲が割れて陽が差してきたので、
慌ててもう一度公園へと引き返した・・・
すると、そこは目映い光あふれる別世界に変わっていた。

木々を縫って斜めに差す陽光が水面に反射して、
池畔にあったガゼボの白い天井を、光の波が照らす。
その時、赤ん坊を抱いた女性が、ふわりとその光の光景に入ってきて、
水面では、一羽の水鳥が水しぶきを上げながら飛び立った―――

想像を超えた光のマジックが、偶然に見せてくれた一連のシーンは、
まるでスローモーションのようになって、今もはっきり目に浮かぶ。

笹倉鉄平

『セントステファンズ公園』作品詳細


86、『ブレーメンの移動遊園地』

ヨーロッパの多くの街では、
お祭りやイヴェント等が行われる際、移動遊園地がやって来る。

街の中心に在る大きめの広場や公園、駅近くの広い駐車場などに忽然と出現し、
期間が過ぎれば、またあっと言う間に消えるらしい。

主に、春はイースターの頃、夏はヴァカンス時期、秋は収穫祭、など。
そして、冬はクリスマス・マーケットと・・・大きな街では、年に何回か来るらしい。

12月にドイツを訪ね、各地でクリスマス・マーケットを巡った時、
その側に在った大小様々な移動遊園地と出会った。
中でも、ブレーメンという街の中央広場に在った回転木馬と観覧車のデザインが、
何ともレトロな良さを醸し出していて、魅了された。

夕刻ともなれば、
ありとあらゆる種類の電飾が、点いては消え、くるくると回転し・・・
歴史ある建物に囲まれた広場の中で光り輝き、
風景は、現実離れしたノスタルジックな別世界へと変貌した。

嫌なことなど忘れさせてくれるような、
そんな夢のような時間を、創りだす光。

その"光"に包まれているうち―――
絵のイメージは、ごく自然に生まれた。

笹倉鉄平


85、『ドゥー・マガザン』

フランス中西部、ロワール地方の中心都市トゥール。
街は、秋から冬への準備を始めていた―――

古い教会の近くを通りかかった時のこと。
ふと目に留まった2軒の店があった。
これといって個性的でも豪華なわけでもないが、不思議と心惹かれる佇まい。

一度は通り過ぎたのだが、その後、どうしても気になって、
日が暮れてから、再度この場所へと戻ってみる。

左側の店は"外から照らす光"、
右側の店は"店の中からこぼれる光"、
それぞれに異なる趣の光をまとって、対照的な表情を見せていた。

よくよく見れば、全体に白っぽい店と黒っぽい店で、
外観までも対照的なことに、夜の光の中でようやく気づいた。
全く異なる外見ではあるが、共通する魅力をこの2軒に感じた。

昼間、妙に後ろ髪をひかれた理由は、
そんなところにあったのかもしれない。

笹倉鉄平


84、『雨のち夕陽・・・』

フヴァル島――
栽培が盛んなことから別名"ラヴェンダー島"とも呼ばれる、のどかな島だ。
クロアチアのこの辺りの海は、地中海の中でも最も透明度が高く、
蒼い空を映して様々なブルーに輝く水面に、気持ちが解放されてゆく。

本土スプリトの港から1時間程船にゆられ、到着した島の観光案内所で、
島北部のイェルサという小さな漁港の写真をパンフレットの中に見つけ、
興味を惹かれたので行ってみることにした。

バスを乗り継いで到着した時には、雨が降っていた。
教会やらカフェやらに立ち寄りつつ町の中を歩き回り、
再び港へ戻る頃には、雨はすっきりと止んでいた。

雨が上がったばかりの澄み切った空気を貫いて、
まぶしいほどの夕陽が、右手西方向の真横から、港の町並みを照らしている。
なんと穏やかで、平和な美しさなのだろう・・・

「この夕陽の感じ、ずっと昔にも見たことがある!!」
初めてやって来た遠い遠い島の片隅の小さな港で、
こんな"懐かしさ"に出会おうとは・・・

郷愁というのは、いつも突然にやってくる。

笹倉鉄平


83、『リフレッシング・レイニー・カラー』

「雨の日でも、光って結構明るいんだ・・・」

旅先での朝――外の光を透かす和室の障子がまぶしかった。
障子を引き開ければ、意外にも、小雨が降っていた。

暫し、雨の落ちる庭を眺めていると、
何だか草木や苔の緑が喜んでいるかのように見えてきて、
"うるおい"に満ちた目の前の景色に癒されてゆく。

この感覚を色彩に置き換えて表現できないものだろうか?
雨の日の光だけが持っている色のニュアンスを――

リフレッシュ出来そうな、雨の似合う場所を想像して、
スケッチしながら、現実には無い風景を創作していった。


もしも、池の上に突き出して建てられた小さな庵が在ったなら、
どんな風に過ごしますか?
静かな書斎として、お気に入りの本でも?
パソコンを持ち込んで、美味しいコーヒーの一杯でも?
それとも、茶室として、友人を招きましょうか?
やはり、何もせずに独りぼぉっとするのも良いかもしれません。

そんな想像をする時間もまた・・・

笹倉鉄平


82、『スプリトの花市』

イタリアから、フェリーでアドリア海を渡り、
翌早朝にクロアチアのスプリトという町に着いた。

まだ眠い目をこすりながら港のカフェで朝食を済ませ、
とにかく旧市街の方向を目指して歩き始めた時・・・
幸運にもこの風景と出会うことが出来た。

若葉もまぶしい木々に囲まれた広場に、朝市が立っている。
さすがに"世界で最も花を贈る国"とも云われるクロアチア。
全体の半分ほどの面積を、花の市場が占めている様子に目を見張った。

初夏の朝の若い日差しが、広場に斜めに差し込んで、
並ぶ店先の花々やパラソルを、キラキラと目映いばかりに照らしている。
その色、色、色の洪水―――あまりのカラフルさに、
まだ少し眠気の残っていた頭が、一気に目覚めた。

スケッチをしているうちにも、花はどんどん売れてゆき、
昼を過ぎた頃には残った花もまばらになって、
少し寂しく物足りない風景へと変わっていった。
翌朝、再度そこを訪れれば、市場なので当たり前ではあるけれど、
様々な花々が華やかに並べられ、色とりどりの風景へと戻っている。

人々が花を抱えて買い物をしつつ笑顔で行き交う朝の常なる表情、
昨朝と変わらぬ色鮮やかな美しい光景。
今朝も、明るい気分や元気を沢山もらった。
そんな気持ちを、溢れる程の色彩に託して伝えたかった

笹倉鉄平


81、『他にも道はある』

南フランス、プロヴァンス地方の小さな町で、とても印象に残るワン・シーンに偶然出会った。

よく晴れた日の午後、日陰になった路地。
一匹の太った猫が昼寝をしていた。
そこへ、陽の当たる向こうの通りからの上り坂を、白いボサボサ髪の小さな犬が登ってきた。

気配を察したのか、サッと起き上がる猫。
緩い下り坂の先にいる、寝起きで機嫌が悪そうな猫の姿に、犬の方は坂道を登りきって初めて気づいたらしく、その場に立ち竦んでいる。
と、猫の迫力に気圧されたのか、犬は視線を逸らすようにして、元来た道をすごすごとまた戻って行った。

猫の方が逃げ去るかと思いきや・・・
予想を裏切る展開と肩を落としたような犬の後姿に、何とも言えぬ可笑しみを感じた。

猫は、一匹ではなく、ただ道にたむろしていて、威嚇する気など無い様子でもいいのでは?
犬は、困り顔のフレンチ・ブルドックがピッタリなのでは?
その方がより楽しく思えて、現実とは変えることにした。

―――さてさて、絵の中の犬は、この後どうするのでしょう?

笹倉鉄平


80、『ブルー・スノー』

デンマークの首都コペンハーゲンを、12月に訪ねた。
17世紀、市街地を拡張する際に掘削によって造られた、
長さ400m・幅40mほどの運河のような小さな港が、ここニューハウンだ。
当時からの建物にレストランやカフェ、雑貨店などが入っており、
観光スポットにもなっている。

そんな港に面した歩行者道路沿いには、
この時節になるとクリスマス・グッズやプレゼント用の雑貨等を売る
小屋状の小さな露店も軒を連ねており、
のぞきながらそぞろ歩けば、厳しい寒さの中でも心は何となく浮き立ち、
温められるような気がする。

ブルーの夜空から、そのブルーに染められた雪の一片一片が
街へ、海へと静かに舞い降りてくる。

北欧らしい瀟洒で落ち着いた街並みが、
このシーズンにだけ見せる心躍る夢のような風景・・・
いわば"大人のファンタジー"を、
淡いブルーの雪のヴェール越しに描くのが、
自分の心に持っていたイメージに最も近いように思えた。

笹倉鉄平


79、『帰り路』

フランス東部、ドイツとの国境に近い国際都市ストラスブールを訪ね、
ライン河支流のイル川沿いを、夕刻に散策した。

パリのセーヌ河畔の川幅や橋、護岸の様子などを
それぞれに全て小ぶりにしたような景色で、落ち着きを感じる。
そして、秋色に彩られているその風景は、眩しいほどに美しい。

眺めているうち、初めて来た場所でありながら、
なぜか胸に"懐かしい"感覚が湧き上がってきた。

子供の頃、日が短くなった夕方、学校からの帰り路。
淡い夕陽をほほに受けながら、色づく樹木に見入るうち、
胸にじぃーんと迫る何かで、夕景がにじんで見えた記憶が残っている。
嬉しいこと、悲しいことがあったわけではないのに―――
幼心にも染み入るような、心が温かくなる色味だったからかもしれない。


「今日も、色々あったなぁ・・・」
"帰り路"というのは、過ごした一日を振り返る機会になることが多い。
外へでかけ、社会の一員となっていた自分から、
素の自分へと"帰ってゆく路"でもあるような気がする。

笹倉鉄平


78、『ニアソーリー村』

イングランド北部を巡っていた時。
世界中で親しまれ、愛読されている絵本「ピーターラビット」の舞台となった小さな村を訪ねた。
その作者ビアトリクス・ポターは、ロンドンからこの地へ移住し、
一連の絵本シリーズの挿絵に、村のあちこちの風景を描き入れていった。

画面右側の庭や石積みの塀、奥に見えているパブも、絵本の中に登場している。
そして、その出版から100年以上が経った現在も、
絵本の風景そのままに佇まいが残されていることに感動し、
同じ風景を、私なりに描いてみたいと思った。

庭にあふれる色とりどりの花の景色は、昼間の光の中で楽しむのが一般的で、
花の庭の"夜景"というのは、写真でも絵でもあまり見た記憶が無い。
私自身、今までに描いたことが無く、創作意欲が湧いた。

空にまだ明るさも残る夜。
甘い香りに包まれた雰囲気を
色の調べのように感じながら・・・

笹倉鉄平


77、『夜空の花束』

ひと言で云うなら、「こんな光景を見てみたい」だった。
夜空に描かれる、色とりどりの"花束"のような花火―――

フランスとスイスの国境に横たわるレマン湖。
スイス側の湖畔に在る小さな町で、
夕方から夜に向けて灯りが点されてゆく様子を
小さな防波堤から眺めながら思った。

もしも、今この場所で花火が上がって湖面に映ったなら、
目の前のこの景色は、どんなに綺麗で華やかな姿に変わるだろう・・・?と。
その時、目を閉じて想像した景色がこの絵になった。

人の抱く"印象"というのは不思議なもので、
次々打ち上げられては消えてゆく花火の残像と
楽しかった思い出が結びついたりして、
一枚の写真や絵では写し取り難い映像として記憶される。

そんな「花火」というものを、自分らしい表現で描けないものかと、
以前から頭の片隅で思いつつ、気付けばもう何年も経って・・・

ある日、自分の昔の画集をパラパラとくっていた時、
突然フラッシュバックするかのように浮かんだ想像のイメージと
レマン湖畔の村の景色が結びつき、頭の中で鮮やかな一枚の絵となった。

花火は、現実よりもカラフルさを強調して描き、 他は対照的に現実の色を抑え、モノトーンに近い表現にした。 そして、夜空へ、様々な想いをたくした"花束"を捧げたいと思った。

笹倉鉄平


76、『今日が始まる』

ブルージュ(ベルギー)の街を十数年ぶりに訪ね、
中心部から少し離れた閑静な住宅地区を、朝早くに散策した時のこと。
運河は静かに流れ、水鏡のように周囲の家並みや穏やかな空を映し出しており、
その美しさを夢中でスケッチブックに収めた。

そして次の日の朝、全く違う場所でより印象的な空に出会った。
雲の多い空だったが、その切れ目から
朝陽がいわゆる"天使のはしご"状に差し、神々しいばかりだ。

厚い雲に遮られながらも、それを貫くように輝く光からは、
勇気や元気をもらえるような、何か力強いパワーを感じた。
これこそ今、最も描きたいと探し求めていた光だった。

――そう、正に"希望の光"

目を奪われ、魅せられて、暫くその場から動くことも出来なかった。
そして、そんな空の光景と昨日スケッチしたブルージュの風景とを合わせて
一枚の絵にしよう、と自然に考えていた。

絶望はしない。
どこかに必ず、前へと進める道が在る。
後向きになることなく、今出来ることを見つめて、
また今日という一日を始めよう。

私たちを照らし出す"光"を絵に描いて、
そんなメッセージを伝えられたら――

笹倉鉄平


75、『僕とボビーと秘密の店と』

イギリス、ロンドン近郊の住宅街の一角で、
今は盛りと咲きこぼれる藤の花の見事な家並みを
スケッチしようとしていた時だった。

ふと、目の端を動くものに気づいて目をやれば、
首輪はあれどもリードも付けず、散歩中らしい小さな犬が、
通りをひとりスタスタと歩いてゆく。
あまりに飄々とした足取りと可愛らしい姿に惹かれ、
少しだけその後をついて歩いてみた。

自分より大きな犬に出くわしても、何食わぬ顔で通り過ぎ、
小さな子供に駆け寄られても、目もくれずに進んでゆく。
その足取りは、決まったコースをパトロールしているかのように堂々たるもので、
何とも微笑ましい光景だったのだが・・・
休憩なのか、突然、通りの片隅にペタリと座り込んだ。
そろりそろりと後ろから近寄ると、
気配に気づいたのか、クルリと振り返った―――

その目の表情が、昔飼っていた犬にあまりにも似ていて、
嬉しいような、切ないような、懐かしいような・・・何とも言えない気持ちになった。
そして、「これ」を絵で表現したいと思った。

更に、描き始めてもいないのに、絵の題名が自然に浮かんできた。

主人公は、勿論この犬。名前はボビー。
背景は、先ほどスケッチしようとしていた、ピースフルな家並み。
実際には一般の住宅だったが、散歩の途中でつい立ち寄りたくなるような、
とっておきのアンティークショップに変えて・・・

"題名"から絵の発想が浮かんでくるという、珍しいケースの作品となった。

笹倉鉄平


74、『クリスマスタウン』

イギリス、ロンドンから西へ200キロ程のところに、“コッツウォルズ”という美しい丘陵地帯がある。
そこには英国人の多くが憧れて止まない田園生活が在り、
自然に抱かれるようにして、小さな町や村がいくつも点在している。

ガイドブック等に掲載されている写真では、そんな家々や樹木、草原、花々など
自然の息吹が生き生きと輝くのどかな風景を目にすることが多い。

ある時、ふと頭を過ぎった――
この緑豊かな風景は、冬にはどんな風になるのだろう?クリスマスの頃には?
なぜか不思議と想像を掻き立てられてしまい、クリスマス直前のコッツウォルズを巡ってみることにした。

多くの通りでは、小さな店々がクリスマスの飾りつけに余念がなく、
都会のきらびやかなそれには無い、素朴な町・村ならではの、
楚々とした中にもこの時期特有の華やいだ雰囲気が有り、大いに魅力を感じた。

その様子は、まるで子供の頃に見て憧れた絵本の中のクリスマス風景そのままの様に目に映り、
憧憬と懐かしさが胸に蘇ってきて・・・

待ち遠しくてワクワクした“あの感覚”を、一枚の絵に表現できないものかと想いめぐらせた。

実際にコッツウォルズのあちこちでスケッチした家をアレンジしたり、
ゼロから空想した店を描き加えたりしながら、“クリスマスの似合う町”を描こうとチャレンジした。

Welcome to the Christmas Town!!

笹倉鉄平


73、『ミモザ』

世界的に、3月8日は「国際女性デイ」なのだが、
イタリアでは、「Festa della Donna(=女性の日)」、
別名「Il Giorno della Mimosa (=ミモザの日)」とされており、
男性が女性に対して、日頃の感謝を込めてミモザの花を贈る日だ。
奥さんや母親だけでなく、職場の仲間、友人、もちろん恋人へも…。
この日は、ミモザを持った女性を街中で見かけるのだという。

心に在りながらも、普段なかなか上手に伝えられない"感謝の想い"を、
花に託してでも表せる、そんな機会があることは良いことだと思う。


ある日、街角の洒落た花屋の店先に、
ほわほわと優しく咲く満開のミモザの花を見つけ、
なんだかとても明るい気分になった。
ところが、繊細な綿毛を丸めたような"満開"の状態は、
ほんの1日2日しかもたず、小さく丸まって萎み、
色もすぐに鈍い黄色になってしまう。

そんなミモザの可憐ではかない美しさを、
絵の中に時間の流れと一緒に留めおきたい…これが、出発点だった。
主役である、ミモザの黄色を最も美しく見せる為の配色を考えながら、
周りに配する小物を選び、背景を想像してゆく。
「ミモザの日」のことが頭に在った為、窓の外は南イタリアと設定し、
全く架空のヨットハーバーを描くことにした。

さて、この窓辺――
ミモザをたくさんもらった女性の部屋?
それとも、大切な人へいっぱいの感謝を込め、
これからそれを贈ろうとしている男性の…?

笹倉鉄平


72、『ブーゲンビリアの小路』

スペイン南東部、海辺の小さな町カダケス。
20年以上前に初めてここを訪れた時、
当時の私は、その"海辺の景色"にすっかり心を奪われて、
大小5枚の絵を夢中になって描いた。

ところが、帰国して暫らく経ってから、
町の中にあった魅力的な小路が妙に目に浮かんできて・・・
少々心残りな思いを、ずっと何処かに抱えていたように思う。
一昨年、再訪した折には、
"絵にしたい"という明確な意志をもって小路へと足を運んだ。

以前の印象よりも、ブーゲンビリアの枝ぶりも立派になっていて、
赤やピンクの花もよりたわわに、白い壁に映えつつ咲き誇っていた。
道の脇は、石造りのベンチのような造りになっており、
足を休めた人の所に、気まぐれな猫たちが愛嬌をふりまきにやって来る。

丘の上に在るサンタ・マリア教会や住宅エリアから、海辺に向かって小路を下れば、
アーチの向こう側に、蒼い海の水面が顔をのぞかせた。

南国を思わせる開放的なムードに包まれた夜の小路は、
旅人をうっとりとさせる魔法のような時間を刻んでいたのだった。

笹倉鉄平


71、『こもれび』~大切な景色は消えない

イングランド北部を巡っていた時。
かつての製材所で利用されていた水車があると聞いて、カルドベックという、小さな村へと立ち寄った。

その水車小屋を訪ねて窓から外を眺めてみると、眼下にキラキラと太陽の光を反射する渓流が目に入った。
その清々しい様子に、思わず川岸へと降りてみる。

「あ、この木洩れ日の感じ・・・」
水際に立った瞬間、遠い夏の日がよみがえった。

少年時代を過ごした家のすぐ近くに、流れていた小川。
夏休みには、水かけっこをしたり、石をひっくり返しては沢ガニや小魚を捕ったり…と、夢中で遊んだものだ。
木洩れ日がゆらめく中、木々の間から覗く夏空を見上げれば、笑い声が高く高く吸い込まれてゆく。

――そんな光景が目の前の風景と似ていた為、重なって感じてしまったようだ。

後年になって、故郷の小川は大雨で決壊してしまい、護岸工事による整備が成された。
今はコンクリート製の川岸に守られた安心な姿となり、周囲の景色も一変した。

以前の風景を恋しくも思うが・・・
大切にしたい景色や思い出は、こんな風に人の心の中で、
決して消えることなくずっとずっと生き続けてゆくに違いない。

笹倉鉄平


70、『月の光に』

チェコ共和国、ボヘミア地方。
中世の雰囲気を色濃く残した街並や壮麗な城址が美しい、
チェスキー・クルムロフという、ユネスコ世界遺産に指定された小さな街がある。

旧市街の中心には、個性的なデザインの建物に囲まれたスヴォルノスティ広場がある。
うねうねとした石畳に覆われた広場には、白いベンチがぐるりと丸く配置して置かれていた。
その中心に何があるわけでもないのが妙な感じだったが、
恐らく、賑いのある休日などに大道芸のようなことが行われるのだろう。

その横には、聖母マリアが天に向かって祈りを捧げている石像の記念柱があり、
日が暮れてから、それを静かに見上げているうちに絵のイメージが降りてきた。

夜の天空、墨を刷いたような雲の合間にポカリと浮かぶ円形の光。
人々は、月の美しい光を浴びる至福に感謝し、それを賛美し、愛でる。
ここ、広場の真ん中に、月を讃える象徴となるような若者がいて欲しかった。
また、チェロのゆったりとした重厚で上品な旋律も欲しくなった。
そんな光景の中で、広場は不思議な一体感に包まれてゆく。

古の昔から人々は月の光の不思議な力に、
安らぎと神秘を見出し、癒されてきた。

そして私は、月の光に魅せられて―――絵筆をとった

笹倉鉄平


69、『湖水をながめながら』

湖水をながめながら・・・
歩いているうちに、疲れていた気分は融け始めて、
少しずつ少しずつ清々しい空気に霧散して消えていった。

湖水をながめながら・・・
白く光る湖面の眩しさに目を細めていると、
遠い昔の楽しかった思い出がフラッシュバックしてきた。

湖水をながめながら・・・
野に咲く可憐な花の香りに包まれていると、
鮮やかな色彩の花々たちが、精一杯の笑顔で
気分を明るくほぐしてくれているかのように感じた。

湖水をながめながら過ごした日々を、
忘れてしまわないように、宿に戻って絵に描こうとした――
部屋の窓から見えていた芝生の庭は、
いつしか花々の咲き誇る庭へと姿を変え、
そして、遠くには先ほどまで歩いていた湖水の風景が広がっていった。

イングランド北部に在る「湖水地方」は、
豊かな自然の中に湖が点在する美しいエリア。
スケッチブックを片手に、いくつもの水辺を巡り歩いた初夏・・・
湖水在る景色から受けた恩恵と癒し、薄れゆきそうなその記憶を留めておくには、
さらさらとした色鉛筆の質感がぴったりだと思った

笹倉鉄平


68、『エデルシュタイン村へ』

ドイツのミュンヘンからオーストリアのインスブルックへと
車でアルペン街道を走っていた時だった。

アルプス地方が近づくにつれ、雪はだんだんと深くなってゆき、
車窓はいつの間にか見渡す限りの雪原へとかわってゆく。

真上の空は厚い雲に覆われて薄暗いほどだったが、
遠くの空から斜めに差し込む光が、積もった雪に反射して輝いており、
その美しさに、思わず車を止めて外へ出た。

自分が動くと、光の方向も変化してゆくせいか
雪の粒がピンク、グリーン、ブルーへと色彩を変えながら、
小さく瞬くように光り輝いている。
まるでダイアモンドを散りばめたかのようだ。

恐らく、雪の表面だけが溶け、
再び冷え込んだ時にその水分が結晶化して凍り、
光を虹色に分解するプリズムと同じような現象が
積雪の表面で起こっていたのだろう。

そして、この美しい雪原に似合う、
現実には無かった樹木や、農家、村などを
イメージして描いていった。

雪を踏みしめる感触を、一歩一歩楽しみながら、
きらめく雪原を越えて・・・
空想の村へ・・・

ほんのひと時、立ち寄ってみませんか?

笹倉鉄平


67、『フレームド・オータム・カラー』

京都の洛北、とある寺の薄暗い書院から、庭の燃え立つ様な紅葉を目にした瞬間、
この鮮烈な色への感動に、すぐにでも筆をとりたくなってしまった。

暗い室内と柱を額縁に見立て、周囲の景色を切り取ることによって、
同じ庭でも、屋外で見るよりも更に鮮やかに、秋の色彩を強調することが出来た。

夏から冬へと移ろってゆく狭間の、秋という季節――
心は、夏に感じていた「動」から抜け出し、無意識に「静」を求めている様に思える。
美しい紅葉の風景と対峙する時、内なる静けさに一歩近づける気がする。
そんな感覚を感じられる絵に出来ないものだろうか、と思案しながら制作していった。


実はこの作品、春の桜風景「フローティング・スプリング・カラー」との連作として描いたもので
そんな二つの作品の連作としての呼び名を「雲錦スィート」としてみた。

『雲錦』とは、満開時には白く淡々と「雲」がかかった如く咲き誇る桜と、
「錦」の織物の様に絢爛と色づく紅葉と、その両方が描かれている工芸品などによく見られる図案のこと。

二つの作品の季節と色彩をテーマに、春と秋がそれぞれ独自に持つ、
色の印象、野外と室内、「外向的」と「内向的」、「動」と「静」の構図の対比・・・等々
各々が響きあう様にと、描いていったのがこの二つの作品となった

笹倉鉄平


66、『河沿いのトラム』

ハンガリーの首都ブダペストに着いてから、来る日も来る日も、ずっと雨空が続いていた。
美しい風景の数々を前に、ここにサッと陽が差してくれたら、
どんなに綺麗だろう、と何度もため息をつく場面があった。

そこで、濡れずにスケッチ等することが可能で、
美しい景色をじっくり見晴らせる場所はないものか・・・と、随分探し回った。
そんな時の足にしたのが、街中を縫うように走る黄色のトラム(=路面電車)だった。

そういえば、路面電車が走るヨーロッパの街々で、
今まで幾度となく、その姿を描こうとしたことがあった。
が、どの街でも、そのほとんどが
市街の雑踏を走りぬけるシチュエーションで、背景がいまひとつ。
しかも通行人も多い為、スケッチも観察もしづらい・・・等々、
マイナス要因に阻まれ、なかなか油彩画として描くことが出来ずにいた。

しかし、ドナウの流れとブタペスト王宮を背景にして走るここのトラム――
特にこのヴィガドー停留所前は、小さな広場となっており、
少し離れた所からゆっくりとスケッチや人間観察が出来る、理想的な場所だった。

昼も夜もここへ通ったが、殊更に雨の降る夜の幻想的な様子に心惹かれた。
こんな景色と出会えたのだから、雨が続くのも悪くなかったかな?
・・・そんな風に思えた

笹倉鉄平


65、『言葉のかわりに』

「話をする」ことが、元来とても苦手だった。
だから、絵で「描いて伝える」画家の道を、自然に選んだのかもしれない。

そして、その画業も今年で20年という節目を迎え、
記念としての画集が出版されることとなった。

デビュー作品を初めの見開きページに掲載することはすぐに決まったが、
最後のページには、20年間の感謝の気持ちを表せるような作品を
新たに何か描きたい、と思い立った。

長年にわたり、絵画の制作とそれを通して様々な活動を続けて今日に至れたのも、
ひとえに、ご支持と応援を下さった多くの方々あってのこと。
20年間、色々な形で頂いた応援一つ一つは、
心の温まるものが多かったことを思うと、
大きな絵で表現するよりも、敢えて小さなキャンバスに描いた
小さな花束の方が身近な感じがして、どこか相応しいように感じた。


大切な気持ち
余すことなく伝えるのは、
「言葉」であれ「絵画」であれ、とても難しいものだと思う

笹倉鉄平


64、『レ・ドゥー・ギャルソン』

「レ・ドゥー・ギャルソン」は、画家のセザンヌが足繁く通ったカフェで、
日除けに「1792」年とあるように、200年以上の歴史がある。

郊外にあるセザンヌのアトリエを訪ねた後、このカフェの前を通りかかった頃には、
日も暮れて、通りには既に街路灯が点っていた。

南仏プロヴァンス地方独特の建物やプラタナス並木が、
その灯りに照らし出され、まるで大きな舞台のセットの様だった。
リアルでありながらも現実離れしたその幻想的な光景に、しばし目を奪われてしまった。

日除け、パラソル、窓枠それぞれのグリーン系の色と響きあう、
生命感溢れる生き生きとした葉の緑色のハーモニーがなんとも美しく、
絵に描きたい・・・と、心が動いた。

本来、太陽の光が似合いそうな自然そのものの若い葉が、
人工光に照らし出されている風情が、妙に新鮮に感じられる。

――若葉の季節であったことの幸運に感謝した。

笹倉鉄平


63、『カダケス2010』

スペイン、バルセロナからフランス方面へ列車とバスを乗り継いで、およそ4時間――
小さな漁村の風情を残したリゾート地、カダケスへと至る。

かつて、この地を描いた作品が、画家としてのデビュー作となった。
以前から決めていたことなのだが、20年を経てもう一度同じ場所を訪ねることにした。
当時と同じ場所に立って“どの様な印象を持ち、何を感じるのか?”
・・・自身を見つめなおしてみたい、と思っていたからだ。

人の営みを穏やかな光に託して描きたい、という思いは全く変わらなかった。

当時は、独特な家並みの造形に興味を持ったので、建物やその構造など、細部まで描きこめるような構図とした。
しかし今回は、港に面したこの魅力的な湾が醸し出している、全体のイメージを表現したいと思った。

細部へのこだわりは今も変わらないが、その表現は少しずつ変化しつつあるように感じていたし、
絵が仕上がってゆくにつれ、改めて確かめられたことだった。
“細やかさ”よりも“やわらかさ”により重きを置くようになってきたということを。

願わくは・・・
絵をみた時に、肩の力がぬけて心が安らぐようなものを描きたい。

そんな風に思い続けた20年の歳月が、自分の絵を少しずつ変えてきたのだろうか?

笹倉鉄平


62、『フローティング・スプリング・カラー』

海外の人たちにも「見てもらいたい」と、胸を張って言える
日本の素晴らしい風景とはどんなものだろうか?
数ある中でも、「日本に生まれてよかった」と我々自身が
しみじみと感じることが出来る、春の桜風景も、その一つに違いない。

四季折々の移り変わりを自然の中に見出し、楽しみ、愛でる・・
古くから脈々と息づく、そんな日本人の感性を素晴らしいと思う。


淡い春、芽吹きの季節。
山は、樹々一本一本で異なる色を見せる新芽や花の色で、独特の表情に彩られる。
“「山が笑う」と表現される、そんな春の山肌を描いてみたい”と、随分昔から思い続けていたが、
自分の中でのイメージが、ようやく実を結んだ。

満開の山桜は、霞みがちな山並みにあって、まるで雲の様に浮かんで見える。
そして、やさしい春の風に乗って花びらは空に、舟は水に浮かび
寒い冬の間、縮こまりがちだった、人々の気持ちやうきうきした気分までもが
浮かんでいる―――

そんな大らかな開放感と幸福感を表現したいと思った。

笹倉鉄平


61、『12月のティールーム』

イングランド北部のとある小さな村、クリスマスまであと10日ほど・・・
家々や店の内外、村のあちらこちらに、この季節独特の雰囲気が満ちていた。

いたって12月らしいその風景が気に入り、野外の寒さにもめげずにスケッチをしていた。

夕方になり、凍えてきた手や体を暖めたくて、近くのティールームに飛び込んだ。
冷え切った両手に、ミルクティーのカップのぬくもりが有難かった。

心地よい暖かさに包まれながら、店内のクリスマスの飾りつけをぼんやり眺めていると、
子供の頃に憧れ夢見ていた、「外国のクリスマス」の世界へと思いは漂っていった――
つい先ほどまでスケッチをしていた村の景色には、
雪が静かに舞い落ち始め、雪だるまを作る子供の歓声までも聞こえてきそうな気になった。

ところが、店の窓から今、見えている外の景色は、
雑木林と家がぽつりと一軒だけという、少しばかり物足りなく味気ないもの。
温もりに溢れた屋内の様子とのギャップが、少し寂しく感じられた。

・・・であれば、なにも現実ではなく、”こうあって欲しい”と、
想像したクリスマス・シーズンの情景を、窓の向こうに描けばいいのだ、と思った

笹倉鉄平


60、『ブリッゲン』

ノルウェーの港街ベルゲンは、
フィヨルド地方に在るせいか、港の背後すぐそばまで山肌が迫り そこに張り付くかの様にして家々が建っている

旧市街地側では、茶系の色や白色に塗られて一列に並ぶ古い木造の建物が目を引く。
この建築群は「ブリッゲン」と呼ばれ
14世紀頃、ハンザ同盟の四大重要都市として繁栄し
商人、職人の家や事務所、倉庫などとして使われていたという。
現在では、レストランやカフェ、雑貨店、ギャラリー等として利用され
世界遺産としても人々から愛されている。

個性ある独特の建築様式と
どこか懐古的な魅力あふれるその色合いに一目で心惹かれ
“この雰囲気をどうしたら絵に出来るか”という思いで頭がいっぱいになった。

まずは、ブリッゲン全体を眺めながら
スケッチをしたりアイデアを練ったりするのに最適な
ちょうど対岸にあるホテルの海側に部屋を取ることにした。

昼間見る様子も良い感じだったのだが、
そこから見る夜景に制作心をより刺激された。
そして、夜の薄藍色を現実そのままに描くのではなく、
昼間のレトロな色合いが作り出す雰囲気を活かした夜の情景として
表現できないものかと想像を広げてみた――

結果、“全体をセピアな色調にする”というアプローチではなく
ブリッゲンに使われている色以外の色彩を画面から無くす・・・
つまり、家や船等から木々に至るまで、風景の中に在る緑や青の系統の色を
グレー系の色調に変える、という方法を思いついた。

すると実際の色合いからは離れてゆきつつも
徐々に頭の中のイメージには近づいてゆき、
ようやく絵が“微笑んでくれた”様に感じた。

笹倉鉄平


59、『朝霧のケンジントン公園』

ロンドンにあるケンジントン公園を、朝霧たちこめる早朝に散歩した。
周辺にメイフェアやチェルシー、ノッティング・ヒルといった高級住宅地が並ぶエリアのせいか
一人で何匹もの犬を連れて散歩を楽しむ人に多く出会った。

はじめ、空に暗さを残すほど暗い朝霧の中、
大きな木々までもぼんやりと幻想的ですらあったが
徐々に霧が薄れてゆき、その向こうの薄絹をまとった様な朝陽の存在に気づいた。

霧の幕をも通り抜けて届く光のなんと美しいことか・・・
その優しいながらも力強い朝陽に感動した。
そして、それをまとうかの様に立つ樹々や枝々のシルエットの繊細さと
シーンとした空気の中で、元気に駆け回るたくさんの犬たち―――
公園というひとつの空間での、静と動の対比にも心動かされた。

どうしたらこの「朝陽」を絵にできるだろう?
霧が出ている時の遠景は、実際に文字通り水墨画的なのだが
そういった灰色の濃淡ではなく、濁らせない色調で描くことができれば
この美しい霧中の光を表現できるだろうか?

・・・そんな思案を巡らせていると
わずか30分も経たないうちに、
空はみるみる澄み切った青空へと変わっていった。

見はらしの利かない霧を追い払いながら朝日が顔を出して
今日も新しい1日が始まる
未来への希望を感じさせる光、それがいつしか人の心も晴らしてくれる様に思え
これを描いておかねば・・・という気持ちになった

笹倉鉄平


58、『ヴィスビーのクレープリー』

スウェーデンの首都ストックホルムから、バスとフェリーを乗継ぎ、約4時間――
手つかずの自然が残る美しい島、ゴットランド島へと到着した。
中心の街であるヴィスビーは、12~15世紀頃にはハンザ同盟の貿易港として栄え
世界遺産に登録されている。

ヴィスビーの港から、旧市街の中心に在る広場へと登る道の途中に
間口の狭い小さなクレープ屋があって、大変にぎわっていた。
宿が港近くだった為、この店の前を何度となく通りかかったのだが
午前中から夜遅くまで、一日中客足が絶えない人気ぶりだ。

そんな店先を、全く同じ場所から捉えた2枚の絵を描きたくなった。
「さあ、また一日の始まりだ」という、朝を迎えた爽やかな気分溢れる開店前と
「そろそろ帰ろうか…」「また明日」という、一日を楽しく過ごした気分が漂う閉店前。
そんな風に繰り返される毎日の象徴的なシーンの2枚として・・・。

それにしても、一体この場所の何に魅かれるものを感じるのだろう?
ここが、上下左右と空間的に複雑な“三叉路”だからなのかもしれない。

左側の坂道を登れば、ショップが軒を連ねる市街地。
右側の道を下がれば、港へと出る。

「どちらの道を行こうか」と、この場所で迷うことが実際何度かあった。
この風景を眺めていると、二者択一の岐路にさしかかった時をイメージしてしまう。

選択する時に、“あせりは禁物”とよく言われるが・・・
同じ決めるなら、例えば、こんな三叉路にあるお店で空腹を満たし、
元気になって、心に余裕ができてからの方がよいのではないだろうか?

笹倉鉄平


57、『ヴァンドーム広場』

パリには、個性的で美しい大小さまざまな広場や公園が多くあるが、
中でも、この街の香りをとりわけ強く感じるのが、このヴァンドーム広場ではないだろうか。
目立った装飾があるわけでもないのに、
独特な上品さとシックな雰囲気が漂っている点に、不思議さすら覚えてしまう。

かなり前から何度となく色々な時間帯にここを横切り、
特に夜景の別世界的な美しさに心惹かれてきたが、ある日それを上回る“時”に出会った。

夕暮れが迫る頃だった。
小雨を含んだ曇り空を見上げると・・・
そのグレー色の中に、紫色やグリーン系の微妙な色彩が重なりあっている様に見えた。
その瞬間、「描きたい」という思いが胸をよぎった。

また同時に、パリらしい洒脱なエスプリも少し加えられたらと考え、
名物である広告塔のポスターの女性モデルに魅入る男性と、
それを不思議そうに見上げるタキシード模様のボストンテリアを登場させることにした

笹倉鉄平


007、『ラ・ブレス』(1992年)

この絵は、軽井沢のお花屋さんをのぞいた時に、黄色の水仙がとても綺麗で
花だけを先にキャンバスにスケッチしました。

次に、その花が飾ってある部屋をイメージし、
風景には、以前に旅したフランスのブレス地方の教会が自然に浮かんできました。

つまり、野外の景色は、昔のスケッチから描いたので実在するのですが
作品全体としては仮想の世界です。

手前の編み物や、犬や、遠くにいる人の関係は、
見る人によって違う話を作ってほしいと思って描きました。

のんびりしたブレス地方の田舎で画面手前の椅子に腰掛けたつもりで
花や風景を見、ゆったりとした気分を味わってほしいと願っています。

笹倉鉄平

『ラ・ブレス』作品詳細

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※笹倉鉄平版画作品(2000年~最新作)

【笹倉鉄平版画作品 2000年】
1.森のむこう
2.ヴィーナスの港
3.手作り篭の店
4.白い時間
5.はちみつ色の微笑み
6.メロディア

【笹倉鉄平版画作品 2001年】
7.フロムザパスト
8.小雨降っても
9.あじさい寺
10.祝福
11.自分の中の少年
12.夢の解放
13.願い

【笹倉鉄平版画作品 2002年】
14.幸せな公園
15.ボンビアッジョ
16.ロクブリュヌ
17.旧市街の猫たち
18.月の記憶
19.語らい
20.サンルーに降る雪
21.アフターグロウ

【笹倉鉄平版画作品 2003年】
22.ポンタヴェンの朝
23.それぞれのひと時
24.ラランス
25.大きな木と小さなカフェ
26. エヴァーグリーン
27.灯り

【笹倉鉄平版画作品 2004年】
28.シーズンズスイート
 ① . 桜茶屋
 ② . ホタル
 ③ . 彩り
 ④ . 風花
29.ローテンブルグの雨
30.ヴァイオリン工房
31.うたた寝
32.浜辺の日曜日
33.イルミネーション

【笹倉鉄平版画作品 2005年】
34.バルカローラ
35.グレヴタイの庭
36.キァンティ
37.マロニエの木陰で
38.スターアトラス~天星図
39.リュドノエル

【笹倉鉄平版画作品 2006年】
40.エクリューズ浜
41.プティボヌール
42.芸術家村の通り
43.ヴァカンス
 ① . ヴァカンス~ムーンサイド
 ② . ヴァカンス~ガルズサイド
44.みんな雨の中
45.アルテマイン橋

【笹倉鉄平版画作品 2007年】
46.寿ぎの窓辺
47.モルジュの夕陽
48.オストゥーニ
49.サンジェルマンデプレ
50.八坂の塔
51.雪の町屋通り

【笹倉鉄平版画作品 2008年】
52.ビスケットショップ
53.水辺のスケッチスイート
 ① . ドナウ支流の村
 ② . ルツェルン夕景
 ③ . リュクサンブール公園の泉
 ④ . スケート遊び
54.芸術橋の上で(ポンデザール)
55.アパルトマンの窓辺
56.ゲトライゼ通り

【笹倉鉄平版画作品 2009年】
57.ヴァンドーム広場
58.ヴィスビーのクレープリー
 ① .モーニング
 ② .イブニング
59. 朝霧のケンジントン公園
60. ブリッゲン(アートテラス設立10周年記念作品)
61. 12月のティールーム

【笹倉鉄平版画作品 2010年】
62. フローティング・スプリング・カラー
63. カダケス2010(笹倉鉄平画業20周年記念作品)
64. レ・ドゥー・ギャルソン
65. 言葉のかわりに
66. 河沿いのトラム
67. フレームド・オータム・カラー
68. エデルシュタイン村へ

【笹倉鉄平版画作品 2011年】
69. 湖水をながめながら
70. 月の光に
71. こもれび~大切な景色は消えない~
72. ブーゲンビリアの小路
73. ミモザ
74. クリスマス・タウン

【笹倉鉄平版画作品 2012年】
75. 僕とボビーと秘密の店と
76. 今日が始まる
77. 夜空の花束
78. ニアソーリー村
79. 帰り路
80. ブルー・スノー

【笹倉鉄平版画作品 2013年】
81. 他にも道はある
82. スプリトの花市
83. リフレッシング・レイニー・カラー
84. 雨のち夕陽・・・
85. ドゥー・マガザン
86. ブレーメンの移動遊園地

【笹倉鉄平版画作品 2014年】
87. セント・ステファンズ公園
88. セトル鉄道駅
89. ウーズ河畔
90. ユトレヒトの花束
91. ヴェネチアン・ノクターン
92. オーデンセの綿雪

【笹倉鉄平版画作品 2015年】
93. ル・パレ
94. 続いてゆく・・・
95. アンティーク雑貨の店
96. モーゼルのぶどう畑と、笑顔になる水辺
97. 水の奥の世界
98. アドベントの窓辺

【笹倉鉄平版画作品 2016年】
99. みつけた!
100. 散歩の時間に
101. ボーデン湖からライン河へ
102. ピアノのある部屋
103. リューネブルク
104. ソワレ・ド・ノエル

【笹倉鉄平版画作品 2017年】
105. おかえり!
106. オンネア
107. 青空-アルゼット
108. モンマルトル
109. 両手ひろげて

(C)All of Art TEPPEI SASAKURA/ART TERRACE
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笹倉鉄平作品専門画廊【元町コンフォートギャラリー】